モラコットリゾートを出て30分は経っただろうか、車はパーム椰子のプランテーションの中の激しいダートを走っていた。
車内は揺れまくり天井に頭をぶつけてしまいそうだ。やがてそのダートも倒木により塞がれて先に進めなくなってしまった。道は車がすれ違えるかどうかも怪しい位の広さ、両側は土手や藪に覆われUターンできるほどのスペースも無い。
このままバックで広い所まで引き返しかないか、と思ったら、車の4WDモードスイッチをLOに変えた助手君(まっちゃん)はバックして車体後部を路肩の土手に突っ込ませた。そして藪をなぎ倒しながら土手に乗り上げると、切り替えしてUターン!すげ~!車ってこんなことできるんだ!これなら象とでも戦えるかも。
なんて感心しつつ来た道をちょっと引き返しわき道に入る。回り道をするようだ。そして再び激しいダートに揺さぶられまくること10分ほど、やっと車は停車した。
ここがカザリショウビンのポイントなのかな?
周りは高い木々に囲まれているが、密林と言うほどでもなくわりと明るい。
僕らはここで待つように言われ、各自車から降りてカメラをセットする。
Yotinはまっちゃんと二手に別れカザリの姿を探しているようだ。
そして待つこと10分ほど、コールバックに答える様に、森の奥から「ピィーピィーピィー」とカザシヨウビンの声が聞こえてきた!
でもここまでは今までにもカオヤイやダナンバレーで経験があるんだよな。いずれも結局姿は見られなかったんだ。
開けているとはいえ、声が聞こえてくるのは道路から大分離れた森の中。今回も姿を見るのは難しそうだなあ・・・と思っていたら、声が道路の右から左へ移動した。
Yotinを見るとこっちに向かって手招きしている!いるのか!?カザリショウビン!
ここで走ったら鬼Yotinに怒られるので、抜き足差し足で近くまで行くと、あそこにいる、と指差した先にカワセミ系のシルエットが!
ちょっと遠いし生憎の空抜け逆光だが背中のシマシマ模様が分かる。間違いなくカザリショウビンだ!!!
しかし慌ててファインダーに入れ、3カットほど撮った所で飛んでいってしまった。
警戒心が強いのだろうか。
それでもやっとあえて嬉しいぞ~。思っていたよりずいぶん小さいんだなあ。アカショウビンより全然小さいイメージだ。
その後もYotinとまっちゃんのコンビネーションはすばらしく、再びカザリショウビンを見つけてくれる。今度も木の高い所で逆光だったが、頭でっかちのシルエットがとってもカザリショウビンっぽい。
今度もすぐに飛んでしまったが、次に現れた所は距離はあったものの順光で条件は悪くない。
この場所には長いこと止まっていてくれて、ゆっくりと頭の毛を逆立てる姿をたっぷり堪能させてくれた。さらにコールバックに反応して囀る姿も見せてくれてもう大満足。
思い起こせば十数年前、ランカウイのジ・アンダマンの部屋に置いてあった鳥の図版ではじめて見て依頼ずっと会いたかったがどうも縁遠かったカザリショウビン、やっと会えてほんとに幸せだ~
贅沢を言えばもうちょっと近くで撮りたかったけどね。
それはまた次回の課題ってことにしよう。